経営企画部
文学部出身者に課せられた使命は、
技能者の技能向上策の立案だった。
ものづくりをする企業にとって、その根幹を担うものが技術・技能である。技術・技能力をいかに高めていくか。高めたいと社員に思ってもらえるか。それが、会社成長のカギの一つだ。
そこに携わるのは当然、技能者たち。特殊な一品ものの製品を生み出す関ケ原製作所において、技能は世界一線級であることが求められる。そのような環境において野口に与えられた使命は「技能者の技能向上策」を考えることだった。
大学では文学部で世界史を専攻。総務系の職種を希望し、具体的な仕事内容よりも会社の体制や雰囲気が魅力で入社を決めた彼女にとって、ものづくり企業のど真ん中に、まさか自分が関わろうとは思ってもみなかった。
ベテラン技能者からの意見や指摘で
目的を再認識し、熱意で提案。
結果として心からの協力者に。
関ケ原製作所では、技術村活動として、セキガハラ技能競技大会を開催している。これは、ものづくりのベースとなる技術・技能を向上させるために毎年10種目ほどの競技に分かれて若手~中堅技能者が技を競い合ってきた。
野口は2022年3月に担当となり、5月に完成する「匠道場」での初開催を目指すことになった。開催日の10月に向けてテーマを「匠道場設立記念大会として盛り上がる大会にしよう」と決め、出場しない社員や家族が来てもセキガハラの技能に関心をもってもらえる大会を目指すことにした。ところが、大会の運営を担うベテラン技能者たちから様々な意見や指摘が出た。「これは技能を向上させることが目的で、来場者だけが盛り上がる大会になってはいけない。選手ファーストの大会にするべきだ」。
野口はベテラン技能者のアドバイスを踏まえ、選手が真剣に競技に挑める大会にすることの大切さを再認識した。そこで、選手ファーストの大会であることを念頭におき、選手と来場者両者にとって有意義となる企画を考え、ベテラン技能者に対して提案。その熱意に、ベテラン技能者たちも野口を支えてくれるようになった。
大会で悔しい思いをした技能者は、
技能向上に、本気になってくれる。
競技内容について、技能のレベルで分かれていなかった種目を「初級」「上級」に分けて若手や間接部門の選手が出場しやすいように設計。この大会出場を機に新たな技能を修得できるよう、未経験の職種に挑戦したい社員に対して、その技能の熟練者から指導を受けられる時間を設けた。
また、「盛り上がる大会」というテーマは変えず、地元の高校生も招待。地域貢献と、関ケ原製作所のPRを両立することも目指した。結果、過去最高の出場選手・見学者に。大成功を収めたと評価されたが、野口は決して満足していない。「若手の技能者から、もっと練習したかったという声があった。これは運営が未熟だった」と言うが、大会出場によって技能を向上したいという気持ちを生み出した、と考えれば、この発言が出ることこそが大成功だということを表している。
文系出身者であっても、若手であっても、ものづくり企業のものづくりに貢献できる。野口は大きなやりがいを感じながら、関係者のより大きな満足に向けて、すぐに次回大会の企画を始めていた。
DAILY SCHEDULE
ある1日のスケジュール
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7:50出社
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8:10メールの確認・対応
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9:00ベテラン技能者とのミーティング
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11:00要望を受けて企画作業
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11:50昼食
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12:50経営企画部ミーティング
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14:00社内報制作業務で営業・設計の社員を取材
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17:00退社